眼瞼下垂の症状が出始めてから8年。
切らない手術を受けてみたものの、中~重度の私には効果が見られないかった。
ということで、遂に…切開手術を受ける決意を固めその日が来た。
2017年の4月下旬。
世間は明日からゴールデンウィークだぜヒャッホーって浮かれている日。
とても長い一日となる。
持って行ったもの
手術の申し込みをした日の説明では、切開はかなり腫れるから帽子とサングラスがあると良いって聞いた。
私が持っている帽子は完全に夏用で、その日は曇天で、手術は17時からだった。
帽子…被るとしたら、完全に季節と時間間違えちゃってる人になるよね…。
ということで、帽子は却下した。
更にサングラスなど持っていないので、結局眼鏡のみを持参した。
必要であれば眼帯をお出ししますよと言われていたが、念のためクリニック近くで眼帯購入。
あとは現金3万円ちょっと。
手術
手術は17時から予約してあるので、16時半ごろクリニックへ到着。
今回もさほど待たされることなく受付を済ませ、サイン済みの同意書を提出。
洗顔とお手洗いを済ませ、処置室に入ったのが16時50分頃だった。
緊張でどうにかなってしまいそうだ。
こういうときおすすめなのは、緊張していることを言葉にしてしまうことだ。
「あぁぁぁぁ緊張する…すごいドキドキする」って。
傍にいるスタッフの人が「ですよね~」って優しく応えてくれる。
手術準備
とりあえずここで、カルテ用の手術前の目の状態をパチリ。
目が虚ろに見えるが、実はコレで最大限見開いているのだ。
切らない手術をする前はコレより下垂が酷かった。
で、今回もモフモフのくまのぬいぐるみを手渡された。
これ、手術中の患者の緊張をほぐすために持たせているものらしいんだが。
実際すごく癒し効果はある。
手術台に横になり、腹の上でくまを抱き、緊張MAXに達したとき。
例のごとく、先生、颯爽と登場。
もうなんだろ、この先生の放つオーラ。
先生「はいこんにちは~!」
先生「今日は切開と、霰粒腫の切除ですね~。見た目もね、美しくなるようにしましょうね」
てれ「は、はい、お願いします!(神様!)」
先生登場から、処置室は一気に慌ただしくなり人も増えた。
看護師さん数名と、助手の医師が一名。
目ぇ切るのに、こんなに人が関わるのか…。
切らない手術のときの、のほほんとした雰囲気とは全然違う。
こちらはTHE・オペって感じである。
そして、先生が私の頭上に立ち、医療ドラマとかでよく見るアレが。
手術前の「お願いします」ってやつ。
略式ではあったものの、この合図みたいので緊張感は一層高まる。
手術中
ついに手術開始である。
もうここまできたら、私にできることは腹をくくって大人しく寝ているだけだ。
先生「それでは、二重のライン確認しますね~。」
ここで切開ラインに印を付けていくのだが、希望の二重ラインを伝える。
てれ「切らない手術でできた二重ラインより、気持ち狭めでお願いしたいんですが」
「反対の目の二重ラインが二本になっちゃってますが、下のラインの幅に合わせてください」
先生は、了解!みたいなノリで、切開ラインに印を付けていく。
ここから本格的にスタートだ。
まず点眼をし、その後瞼の何か所かに麻酔注射を打っていく。
このクリニックの注射針は極細のヤツを採用しているし、前回ほとんど痛くなかったので余裕だと思っていた。
しかし甘かった…場所によって飛び上がりそうになるほど痛かった。
てれ「……」
てれ「っっっ!!!!」
てれ「いっ…タタタ…」
先生「痛い?ごめんね~これだけ我慢ですよ~!(麻酔が効けば痛くなくなるから)」
くまのぬいぐるみは私に握りしめられてペチャンコになっていただろう。
予想していなかった痛みにビックリもしたけど、前回同様に余裕だと思っていた分精神的ショックが大きかった。
しかし程なくして麻酔が効いてきたようで、もう何をされているかわからない状態となった。
先生も今何をしているところとかいちいち言わないんで、こっちは寝てるしかない。
多分もう切ってるんだろうな~、痛くはないな~、意外に余裕じゃね?
目を閉じていられる分、切らない手術よりラクなんじゃね?
なんて余裕ぶっこいていたわけだ。
するとそのうち、ジュッジュッとか音がし始めて。
焦げたような匂いがして。
え、クッサ!!
ナニコレ…今もしかして瞼の組織を焼いているのかな…
焦げてる…焦げてる私…私が焦げてる…
他にすることもなく、寝ているだけの私の脳内ではちょっとしたパニックだ。
それでもなんとか表面上は冷静でいられた。
このときまでは。
しばらくして先生が口を開いた。
どうやら例のデキモノが見えてきようだ。
先生「うーん…これは…霰粒腫じゃないな。えぇ…なんだろコレ」
助手「……」
先生「こんなの見たことないよ、君は?」
助手「いや、ないですね…」
てれ(え…なに…霰粒腫じゃないの…)
ここらへんから、かなり痛みを感じるようになった。
先生はなんだろうコレ、なんでこんなことになってんだろう…と困惑しながら処置を続ける。
炎症などがあると、その部位は麻酔が効きにくくなると聞いたことがあるが。
私の場合、霰粒腫(と予想されていた謎のデキモノ)の切除処置が始まったあたりから、かなりの痛みがあった。
痛みで思わず顔が歪んでしまう。
先生「ん、痛い?」
てれ「い、痛い…(ガクガク)」
こんな感じのやり取りが何度も続き、そのたびに麻酔の追加が打たれた。
最終的に何本麻酔追加したかわからないほど。
耐えるのに必死で、痛みを感じてからは"とにかく痛かった"ことくらいしか覚えていない。
目を閉じていたので、周囲も見えていなかったし。
長い時間痛みに耐え続けていると、どうやら脳はやけに冷静でハイな状態になるようだ。(私の場合)
感じている痛みの強さは変わらないのに、何等かのホルモンが分泌されたのかハイな気分になった。
痛いのに、気分がハイだから痛みをさほど辛いと感じなくなっていたのだ。
それでいて、不思議なことに自分を俯瞰視しているような冷静さがあった。
人体の不思議である。実によくできている。
余談だが、昔10cm以上の開腹手術で脊椎麻酔が効いていないという経験があるが、そのときは流石に痛すぎて半狂乱になり、我を失い、地獄をみた。
痛みもあまりに激しいと、我を失うか失神するのだと思う。
まぁそれで、痛みに耐え続け「トイレ行きたくなってきたな…」などと冷静に考えたりしていた頃。
先生「取った組織は病理に出しますね。タッキングは結果が出てからにしましょう。今日はこのまま縫合します。」
てれ「は、はぁ…」
先生の言っている意味がさっぱりわからないんだが。
もうヘトヘトで。
「どういうことですか」の一言が出ない。
どうやら、恐らく眼瞼下垂の手術の工程である"タッキング"をせず縫合するらしい。
待って…ということは、切開してデキモノ取っただけじゃね?コレ?
眼瞼下垂は治るの?治らないの?
先生「はーい、もう少しですよ、頑張って!」
この言葉を2度ほど聞いて、ようやく手術が終わった。
いやぁ長かった。
手術後
起き上がって時計を見ると、手術終了予定時刻を30分以上過ぎていた。
あぁ、デキモノのせいでやっぱり長引いてたんだなと。
で先生から以下の説明があった。
・デキモノの正体は不明。
・先生自身、医者になって初めて見たもので、非常に稀な症例だと想定される。
・悪いものではなさそうだが、念のため病理に出して調べる必要がある。
・眼瞼挙筋内にあるデキモノは取れなかった。筋肉の中に存在するとのこと。
(取るには筋肉を切らなくてはならず、そうするといよいよ目が開けられなくなる)
よくわからないデキモノが瞼全体に広がっていて、ほとんど切除したけど、眼瞼挙筋内にはまだ残っているらしい。
私の瞼、どうなってんだよオイ…。
とにかく病理の結果が出ないことには何もわからないということだ。
先生が退室し、看護師さんに手鏡を渡されワクワクして覗き込んだ。
「ぁぁぁぁぁ!めっちゃ腫れてるぅぅぅ!すっご!笑」
すごいなんてもんじゃないわコレ。
腫れずぎて手術の効果もわからない。
しかし、思っていたより傷まわりが綺麗なのだ。
事前に術後写真とかをネットで見たりしたけど、けっこうみんな内出血や傷跡が痛々しかった。
私は腫れこそ酷いが、傷はとても綺麗だし内出血もなかった。
それに驚いたのは、縫合している糸がほとんど見えない。
すっごく細くて目立たない糸を使用しているのだとか。
何より、先生がとても上手に施術・縫合してくれたのだろう。
その後別室で横になり、しばらく冷やして。
受付で支払いをして薬をもらい帰宅した。
●料金
当日支払った金額は、薬代など全て含んで25,560円だった。
安っす!えぇ~マジか安っすうっ!!
もちろん保険が効いているのだが、2万ちょいならもっと早く決心すべきだった。
●もらった薬
処方された薬は以下の通り。
帰りの受付でジンジンと痛みがあったので、ロキソニンを飲んだ。
・痛み止め(ロキソニン)
・点眼薬
・傷用軟膏
・むくみ予防の漢方(手術前から飲んでるやつ)
帰宅後
術後のダウンタイムは実家で過ごすことにしたので、実家へ帰る。
まぁだって、ひたすら寝ていても食事は出てくるしな。
実家へ帰ると私の顔を見るなり、あまりの腫れに母は驚愕していた。
後から聞いたんだが、このとき母は「手術は失敗だ…」と思ったらしい。
母はしきりに「痛そう」とか「可哀そうに」とか言っていたが、実はロキソニンがよく効いており、このとき痛みはほとんど感じていなかった。
とりあえず帰宅一番に記録用写真を一枚パチリと。
すごいだろ、これが手術直後の腫れと傷跡である。
この日は非常に疲れていたので、入浴せず就寝した。
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